ときからの浮遊
風にあおられて たいまつが燃える
月は右天中空 今日は半舷
暦がつたえる 盆の入りなのに
おかしな事象が 素のままにある
いつしか盆の火 ここにある
ちろりと残り火 消え惑い 消えてなるかとゆらぎつつ
送られるまでの ひと遊び
***
心残さず燃え尽きて 白く乾いた灰となり
きみの暮らしを見守ろう
きみは私と共にある
きみは私と共にある
******
きみは
私と
共に
ある
***
燃える火の オレンジ赤の勢いに
なぜだかふっとほほが緩む
消えた猫たちも帰ってきたと
老女のつぶやきが 焔となって揺れた
お盆は旧暦
いいえ,
後人の都合なのだ
風土に根付いた 彼岸と岸がつながるとき
消えた命の瞬きが びりりと肌に伝わり
しばしの交わりを呼び戻す
ここにいるのだ* ここにいたのよ
帰って来い * 帰るところはここ
私はここにいる* ここにいたのね
ちゃんといるね* ちゃんといるのだわ
一人じゃ迎えられぬ 盆の火を
共に分かち合える 思い出の人・人・人
足を運べば そこ、ここに立ち上る
彼岸へ消えた 吾が愛たち
盆の火が運ぶ
手触りも重さも冷たさも温かさも
手触りも・重さも・冷たさも・温かさも
誰にさえぎられることもなく
ますぐにつながる指の先に 浮いて遊ぶ君は
満ちているかい?
足りているかい?
そう、 足りているのね
よかったよ、安心した
また 盆の火につられておいで、きっとだよ…
(by www.cha16=2005.08.15=)
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